円安の時の投資は?要因や投資するメリット・今後の見通しをわかりやすく徹底解説
2022年に1ドル=150円台を突破しましたが、2024年現在も記録的な円安が進行し160円台を突破したことが大きな話題になりました。
FXで米ドル円やユーロ円の取引をしていると、「円安はいつまで続くの」「そもそもなぜ円安が加速しているのか」と感じる方も多いでしょう。
そこで本記事では、円安になる要因やメリット・デメリット、今後の見通しについて詳しく解説します。
円安の仕組みを理解しておくことで、今後の為替相場を読む力が身に付き、FXの勝ちパターンを構築できます。
- 円安とは、外貨に比べて日本円の価値が下落すること
- 円安になるのは、各国との金利差や貿易収支、インフレの3つの要因が関係する
- 円安になると、物価高による家計圧迫や株価下落などのデメリットが発生する
- 外貨建て資産を保有している方には、円安はメリットとなる
- 今後の価格を予測するには、各国の金融政策や地政学的リスクに注目
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円安とは
円安とは、海外の通貨に対して日本円の価値が減少している状態を指します。
反対に日本円の価値が高くなる円高という言葉と対照的に利用されています。
たとえば、1ドル=50円が100円になるような状態は円安です。
上のグラフを見ると折れ線が右肩上がりになっているため、「円の価値が上がっている(円高)のではないか」と感じてしまう方も多いでしょう。
しかし、いままで1ドルを50円玉1枚で買えていたものが、今後は100円を支払って買わなければならないため、米ドルの価値が2倍に上昇し、相対的に日本円の価値は2分の1に減少していることになります。
つまり、米ドル円のチャートが右肩上がりになっている状態は「ドル高円安」です。
一方、1ドル=100円が50円になるような状態は円高となります。
先ほどとは反対に、米ドル円のチャートが右肩下がりになっていると「ドル安円高」だということです。
円安の要因
2024年7月時点の米ドル円の為替レートは、1ドル=153円です。
2022年の年初には1ドル=110円前後で推移していたものが、ここへ来てなぜ大幅な円安になってしまったのでしょうか。
ここでは、円安になる3つの要因を紹介します。
- 日本と外国との金利差
- 輸入の増加
- インフレの進行
日本と外国との金利差
為替相場に最も強い影響を与えるのが、日本と外国との金利差です。
日本はこれまでと超低金利政策を続けていましたが、アメリカやヨーロッパをはじめとする諸外国は金利を上げました。
その背景にあるのがインフレ(物価高)の進行です。
新型コロナウイルスによる物流網の寸断や、ウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰を受け、世界的に物の値段が高くなり、インフレが加速しました。
そこで、アメリカやヨーロッパなどの国では、中央銀行が政策金利を引き上げることを決定します。
金利を上げると景気の過熱感が抑えられ、インフレの抑制効果が働くからです。
対する日本でもインフレが加速しているものの、この段階で利上げをしてしまうと、いままで続いてきた経済不況がさらに加速するかもしれません。
日本でも2024年3月にマイナス金利を解除しましたが、引き続き低金利状態は続くとの見方から再度円安が進行しています。
銀行預金や国債の購入など、外貨建てで資産を保有したほうが有利な利息を受け取れるからです。
日本円を売って外貨を購入する人が増えた結果、日本円よりも外貨の需要が高まるので円安となります。
輸入の増加
一般的に、日本国内への輸入が増加すると円安となります。
たとえば、アメリカから日本への輸入が増えると、ドル建てで商品を購入することが多いため、日本円を売って米ドルを買わなければなりません。
その結果、日本円に対して米ドルの需要が高まり、ドル高円安につながります。
財務省貿易統計によると、1981年から2010年頃までは輸出額が輸入額を大幅に上回っていました。
しかし、2011年以降は輸入額が輸出額を上回る場合がほとんどです。
つまり、近年は貿易収支が黒字から赤字に転換しつつあり、円安が進行しやすい環境にあるといえるでしょう。
インフレの進行
インフレが進行する国ほど通貨が安くなる傾向にあります。
物の値段が上昇するに連れて、相対的に通貨の価値が低くなってしまうからです。
たとえば、リンゴの値段が1個100円だとしても、1年後に110円になってしまうと、より多くの日本円を使って商品を買わなければなりません。
つまり、1年後に通貨の価値が10円分下落したということです。
ただし、前述した通りインフレが加速すると、それを抑えようとして中央銀行が金利を上昇させようとするため、時間経過に伴って物価は落ち着きを見せます。
このような円安になる要因を知っておくと、FXの勝ちパターンを形成できます。
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2024年7月現在の円安要因
2023年11月は、一時1ドルが151円を突破し大きな話題になりました。
急速な円安水準が続いていますが、日銀が金融緩和策の修正を表明しています。
2024年3月に日本はマイナス金利を解除しました。
通常であれば、マイナス金利解除は日本の金利が上がるため=米国との金利差が縮小するとの見方から、円安が鈍化してもおかしくはありません。
しかし、2024年7月段階でドル円相場は大きく上昇し、一時は160円の大台を突破したのです。
マイナス金利解除されている状況でも、当面の金融緩和は続けていくと表明しています。
また、米国でのインフレ率が改善に至っておらず、まだ当面金利差は広がった状態であると判断されたのも要因です。
円安になるデメリット
円安になることで次のようなデメリットが生まれます。
- 物価が高騰して家計にダメージを与える
- 国内の株価に悪影響が出やすい
- 海外旅行に行きづらくなる
それぞれのデメリットを詳しく解説します。
物価が高騰して家計にダメージを与える
1つ目のデメリットは、物価高騰による家計への影響です。
海外から物を購入しようとすれば、基本的に米ドルで決済しなければなりません。
そのため、円安が進行するほど海外から仕入れる物が高くなります。
仕入価格が上昇した結果、企業は利益を出すために販売価格を上げざるを得ません。
消費者にとっては、家計を圧迫する大きな要因となります。
国内の株価に悪影響が出やすい
円安によって海外からの仕入価格が上昇したとしても、すべての企業が販売価格を上げられるわけではありません。
値上げをすることで顧客離れに発展してしまうリスクがあるからです。
そのため、値上げをしない企業は利益が減ることになります。
利益が減少して業績が悪化してしまうと、株価に悪影響を与える可能性があります。
海外旅行に行きづらくなる
気軽に海外旅行に行きづらくなるのもデメリットの一つです。
円安になると、外貨を購入するためにより多くの日本円を支払う必要があります。
いままで100万円で1万ドルに両替できていたものが、130万円出さないと両替できないといったイメージです。
そのため、海外旅行に行くために、いままでよりも高額なお金を用意しなければなりません。
円安になるメリット
円安になると次のようなメリットが生まれます。
- 外貨建ての資産を売却して利益を得られる
- 輸出関連企業の業績や給料が上がりやすい
それぞれのメリットを詳しく解説します。
外貨建ての資産を売却して利益を得られる
外貨建ての資産を保有している方にとって、円安は大きなメリットとなります。
その資産を日本円に替えることで大きな利益を得られるからです。
たとえば、1ドル=100円のときに、100万円を使って1万ドルを購入していたとします。
その後、1ドル=130円になった際にすべての米ドルを日本円に替えると、130万円の資産となり、差し引き30万円分の利益が発生します。
そのため、今後はさらに円安が加速すると思えば、いまのうちに日本円を外貨建て資産に替えておくのも方法の一つです。
輸出関連企業の業績や給料が上がりやすい
前述したように、円安になると輸入価格が上がり、輸入関連企業の利益を圧迫します。
反対に日本から海外へ輸出する物の値段が高くなるため、輸出関連企業にとっては利益幅を拡大できることになります。
輸出事業の好調により企業の業績が改善されると、従業員の給与も上がりやすくなるでしょう。
ただし、近年の日本は輸出額を輸入額が上回っているため、円安になると輸出によるメリットよりも、輸入価格高騰のデメリットをより強く受けやすいといえます。
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円安の今後の見通し・予想
2022年から、日本円は記録的な円安をつけています。
なかなか先行きが見通せないなか、どのように今後の為替相場を予測すれば良いのか、ここでは以下のポイントもとに解説します。
- 専門家による今後の価格予想
- 日本の政策
- 米国の政策
専門家による今後の価格予想
まずは、金融の専門家による為替相場の予想を紹介します。
専門家 | 今後の予想 |
---|---|
三井住友DSアセットマネジメント | 米利上げは鈍化する可能性。長期金利の高止まりが続けば見極めることも予想される。 |
週間エコノミストオンライン | 円安圧力を緩和するには日銀が相当に金融緩和を弱める必要がある。 |
専門家の予想を踏まえると、今後の為替相場を予測するためには、米国・日本それぞれ動向が欠かせないことがわかります。
次の項目でより詳しく解説します。
日本の金融政策の動向
先述の通り、日本と海外の金利差が開くほど、今後も円安が続く可能性が高いといえます。
今後は円安も落ち着くと考えられますが、エコノミストオンラインでは抑制が難しいとの見解を示しています。
マイナス金利解除も当面は低金利状態が続く可能性
為替介入では一時的な時間稼ぎにしかならない
為替の市場は投資家の心理によって動きますが、マイナス金利解除はサプライズ感はなく、市場での反応は薄かったです。
また、他国のような大幅利上げではなく、当面も低金利政策はが続く見通しとなっています。
また、2022年には数回の介入を実施しましたが、2024年現在も円安が続いている状況を考えると、介入の効果は一時的なものにすぎないと捉えています。
米国の政策
アメリカでは2022年より段階的な利上げを進めてきましたが、2024年7月現在は7会合連続での据え置きとなっています。
利上げサイクルは終了したと予想しているエコノミストも多いため、今後のFOMCは大きな注目を集めるでしょう。
当然、利上げに踏み切れば再度円安が加速、利上げサイクルの終了が見られば円高傾向になる可能性は高いです。
FRBでは追加利上げに関しては名言していませんが、利下げは当面行わない方針を示しているため、一定期間高金利の状態は続く可能性はあります。
仮に日銀がマイナス金利解除に踏み切ったとしても、金利差がなかなか埋まらない状況になると、短期間での大きな円高傾向にはならないと考えられるでしょう。
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関連記事 | 外為どっとコムの評判 |
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円安のまとめ
今回は、円安の仕組みやメリット・デメリット、今後の見通しを紹介しました。
- 円安とは、外貨に比べて日本円の価値が下落すること
- 国内外の金利差や輸入の増加、インフレの加速などで円安が進行しやすくなる
- 円安になると物価が上昇し、家計を圧迫するのがデメリット
- 外貨建て資産をより多くの日本円に替えられるのがメリット
- 今後の為替相場には、各国の金融政策が大きく関わる
今回紹介した円安の仕組みを理解しておくと、どのように為替相場が動くかが予想でき、FXの勝ちパターンを構築しやすくなります。
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